施:2019年 3月 8日(金)9日(土)
駒込スタジオ「La Grotte」
ご好評いただきました「夢の世界の中 人は雄弁に語る 展」の画集+映像作品(DVD付ビジュアルブック)が虹色社から書籍化されました
6月3日 書店・Amazonで販売中
展示会にお越し頂けなかった方はこの機会に是非お買い求めください!
おかげさまで大盛況で終えることができました。
展示会の様子はこちらをご覧ください→ 展示会の様子
「夢の世界の中、人は雄弁に語る」展 雑記
蒼政涼子
眠りながらに見る「夢」。
繰り広げられる辻褄の合わない事象に相反するかのように、
剥き出しの己(おのれ)が鮮やかなビジョンで迫って来る。
現実の世界に生きている己が、眠りの中で見る夢は「現実の一部」である、と考えるのならば。
鮮やかなビジョンである事は何ら不思議ではない。
ワインのボトルの底に揺蕩う「澱(おり)」
人間の心の奥底にも、これと同じ澱が静かに潜んでいる。そしてふとした瞬間に湧き上がる。心の中を澱が駆け巡る。
理性から遠く離れた眠りの最中には、その様な「澱の浮き沈み」が頻繁に繰り返されているのかも知れない。
ワインの澱は「旨み成分」であるらしい。
人間の「旨み」は夢の中に滲み出る。
そんな風に思うと、とても趣深い。
この世を形成する、「陰陽和合」。
陰陽和合の対義語はカオス(混沌)。
「夢」=「カオスの世界」、そんな風に思う時もある。
けれども、現(うつつ)の世界の方が、ある意味夢よりも余程カオスな場合は多々ある。
夢の中にこそ、純度の高い陰陽和合が存在している様に思う。
画家の松村さんは、彼女自身の見た「夢」の世界を絵にする。
そこには、本人すら自覚出来ない様々な思念と物語が渦巻く。
彼女から聞く夢の話はとても興味深く、いつも聞き入ってしまう。
暗い世界ではない。かといって明るい世界でもない。
明暗で区別される類のものでもなく、その夢の中には、確固とした彼女の存在が在るように感じる。
彼女の描く絵もまたそれと同じで、
私はその絵の中の物語を頭の中で思い巡らせては暫し夢の狭間に足を踏み入れる。
それはとても不思議で貴重な時間で、案外私の人生の楽しみというのは、こういう所にあるのかも知れない、と思ったりする。
その楽しみの延長線上で、松村さんの沢山の絵から何点かをピックアップして、映像用に、曲にさせて頂いた。
情感とストーリー性を重視してみた。
私にとっても、思い入れの深い音楽になった。
蒼政涼子